石川県白山市馬場の小児科・アレルギー科 斉藤小児科医院

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家庭看護力醸成を

   日頃から子どもの様子をよく観察しておこう
 

 今全世界に未曾有のCOVID-19新型コロナウイルス感染症の脅威が拡まり、いつまで続くのか、いつ収束に向かうのか、罹った人には免疫ができて再感染はないのかなど、人類が遭遇する初めての感染症のため、不明なことも多く、心配や不安の大きい状況が続いています。血栓、血管炎など川崎病に酷似した例もアメリカから報告され、亡くなる子どももあり注意は決して怠れませんが、子どもの感染は今のところ大人に比べて発症は少なく、病状も軽いということです。また子ども同士の感染報告もほとんどなく、子どもの場合は家庭内での感染がほとんどのようです。
 現在日本では多くの疾患に対して予防ワクチンが定期接種の形で徹底されてきたため、重い伝染性疾患に罹患することもほとんどなくなりました。子どもが発熱や咳嗽、鼻汁など風邪症状では、直ぐに病医院へ行かないで、自宅で経過観察をされ、そのまま症状が落ちつけば医療機関に行く必要もないことです。簡単な風邪症状で病医院を訪れ、そこで伝染性疾患に感染することは避けなければなりません。また訴えが新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合でも小児の場合は数日自宅で観察し症状が続けば診察を受けましょう。もちろん新型コロナウイルス感染症に接触の疑いがあれば、症状がなくても接触者相談センターに連絡しなければなりません。

 発熱や嘔吐など急な症状に対して果たして直ぐに医療機関に行かなければならないか、行く必要はまだないかの判断を今一度理解したいものです。
 すなわち保護者の家庭看護力をしっかりと適切に身につけることです。
 生体の自然な反応を考えると、たった今出た熱はあわてて下げる必要は決してなく、発熱によって各種の免疫細胞が活性化され、細菌やウイルスの増殖が抑えられます。即ち発熱は感染に対する防御反応を促進させるための生体保護反応であり、40℃以下の発熱は有益であると結論できます。
 ただ大切なのは発熱の原因をしっかりと見極めることで、時に発熱が重大な疾患の徴候として現れている場合もあります。そのため、家庭での看護力のスキルアップが望まれます。
1)先ず意識について、元気はあるか?、周囲への反応はあるか?、あやすことで涕泣や興奮がおさまるか?、じっと見てくれるか?泣き声は普通か?
2)呼吸は息苦しそうな呼吸ではないか?
3)蒼白など皮膚の血液循環の状態はどうか?
 この3要素からなる第一印象は、短時間で判断できることです。基本的には「いつもの様子とどう違うか」に視点を置きます。そのためには日頃から子どもの様子をよく観察しておくことが大切です。
 この度の自粛要請によって来られる患者さんはどの医療機関も少なくなりましたが、感染し合う機会が少なくなったことも理由の一つでしょうが、自粛の中で子どもを十分に観察しながら看護力がこれまで以上に醸成されてきたと考えることができるかもしれません。

日頃から子どもの様子をよく観察しておこう
 

インフルエンザ発病初期は厳重監視

   インフルエンザの発病1日目2日目は絶対一人にさせない

   -- くすりに関係なく異常行動の発生が --
 

 インフルエンザの流行しない年はなく、毎冬年末より散見され、1月下旬より本格的に流行が2月いっぱい頃まで続き、さらに3月、4月、時に5月にも報告されてきます。
 インフルエンザに罹ると寒けを伴って発熱、関節痛など全身症状が強く出てくるのが特徴です。
 最近では診断もインフルエンザウィルス抗原簡易診断キットを使用することが一般的となりました。これによりA型かB型の区別も5~15分で判定できるようになりました。
 季節外れのインフルエンザも時に見ることができます。以前に東南アジア方面の旅行から帰って来て発熱を訴えて来院されました兄弟の方がありました。鳥インフルエンザのこともすぐ頭をかすめたことも加わって、インフルエンザ診断キットで調べましたらものの真夏にもかかわらず2人ともB型陽性の結果でした。滞在された外国か航空機内でインフルエンザに感染したものと推察され、鳥インフルエンザはA型ですので同時に鳥インフルエンザも否定することができました。
 予防は積極的に予防ワクチンを接種することです。ワクチンは12月に接種を完了するのが理想的です。それはワクチンの効果は接種後2週間頃より効果を発現し、その後4、5ヶ月間は効果が持続されるからです。
 現在のインフルエンザ不活化ワクチンは、ウィルスが喉の粘膜に入ってきても、水際で防御する免疫は作る事ができないので、感染そのものは防げませんが、血液中や体液中で働く免疫は作り出しますから、インフルエンザに罹っても、脳炎を合併しないなど重症化予防の効果はあります。
 さて次は治療法ですが、一般的な水分栄養補給、そして安静、保温はとくに大切です。
 そして抗インフルエンザ薬を使用することです。内服薬としてタミフル、ゾフルーゾ、吸入薬としてイナビル、リレンザ、点滴薬としてラピアクタが用意されています。
 しかし平成16年タミフルを服用して3時間半後に裸足で家を飛び出してトラックにはねられた高校生の事例、また平成17年服用して2時間後にマンションから転落死した中学生の事例などが報告され、このタミフルに異常行動を引き起こす重大な副作用が疑われるようになりました。
 しかし05/06シーズンに、0歳から61歳まで約2500例についてアンケートで調査した横浜市立大横田氏の結果では、タミフル服用群では11.9%、非服用群では10.6%に異常行動が出現していたことがわかったとのことです。これら異常行動は、突然大声で唄い出す、うわごとを言う、おびえ、恐怖の表情、理由無く怒り出す、泣き出す、ニヤリと笑う、映像的な幻視・幻覚の表現、意識の消失、自分の指を食べ物のように噛むなどです。
 すなわちこれら異常行動はタミフルを服用してもしなくても有意差なくインフルエンザに罹患した人の一定の割合で発現していることです。
 さらにこれら異常行動はほとんど発熱初日から2日目に集中していることです。すなわち少なくとも、発熱初日と2日目は患児を一人にしないようにすることが、異常行動に伴うリスク回避に極めて重要です。
 また鳥インフルエンザはじめ新型インフルエンザに対する効果も期待されている貴重な抗インフルエンザ薬の乱用だけはは慎まなければなりません。耐性インフルエンザ菌の報告も出ており病初期に適正に使用したいものです。

 

≪予防ワクチンと治療法≫

 何と言ってもワクチンを積極的に受けることです。成人では1回接種でもかなり免疫抗体価が上がったとの報告もありますが、免疫の全く無い人では2回接種が必要です。
 寒さに向かうこれからは新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波の流行も危惧され、毎年流行するインフルエンザ流行と相まって発症してくる恐れがあります。せめてインフルエンザワクチンは今年は是非接種していただければと思います。今年製造予定のワクチンはA(広東-茂南)(H1N1)A(香港))(H3N2)B(山形系統)B(ビクトリア系統)です。
 ただインフルエンザワクチンの効果は100%ではなく、重症化、死亡の防止については一定の効果がありますが、感染防止、流行阻止に対する効果は保証されていません。

 もし家族や職場で濃厚接触が考えられ、感染の予想される後数日中に発熱があったら、検査無しでも抗インフルエンザ薬を早めに投与するのもてっとり早い方法です。
 メキシコやアメリカで10年前新型インフルエンザで死亡率が高かったのは抗インフルエンザ薬はほとんど使用しないで、重症化してきた例に対して発症1週間も過ぎてからやっと使用していたことが大きな理由の一つになっています。
 今のところ薬剤耐性については新型インフルエンザでの報告はごく少数です。耐性ウィルスの発生を防ぐためにも、もちろん乱用は慎しまなければなりません。
 インフルエンザは時には合併症を伴うことがあり、健康成人や健康小児においても、基礎疾患がなくても経過中の観察が極めて大切です。特に呼吸困難、顔色不良、嘔吐、意識低下、意味不明言動などに注意しなければなりません。そして脳症は幼小児だけでなく、学童などにも脳症が起きる可能性があります。

≪予防ワクチンと治療法≫